知に働けば蔵が建つ (文春文庫) | |
内田 樹
文藝春秋 2008-11-07 おすすめ平均 |
私は内田樹先生のそれほど、熱心なブログの読者ではなく、ホッテントリに入っている物をたまに眺める程度だった。だが、ブログの短文を「本」でまとめて読むとよくわからないのだが、なんだか面白いのである。
というわけで、特に読む本が無ければ(積ん読くになっている本が山のようにあるので、そんな状態は無いはずなのだが)ついつい内田樹先生の本の安い文庫本が出ると買ってしまう。
最近「知に働けば蔵が建つ」というブログをまとめた本を購入して読んだのだが、下記のような文章を読んで驚いてしまった。
私は前に「プロの物書き」と自称する方からの批判に答えて「私は『プロの物
書き』ではない」と申し上げたことがある。
私は「アマチュアの物書き」である。
(中略)
私は「アマチュアの物書き」であり、「アマチュアの学者」であり、「アマチ
ュアの武道家」であり「アマチュアのビジネスマン」である。
どの領域でも「プロ」というほどにコミットしていないので、あちこちのエリ
アで小銭を稼ぐというかたちでリスクヘッジしている。
本人がどこまで、そう思っているのかはともかく「プロ」である事を放棄し「アマチュア」であるといっておられる。しかも「プロ」であることに「リスク」があるとも言っている。
私は「社会人」になるということは一種の「プロ」になることだと思い込んでいた。何かの職につき、人前かそれ以上のパフォーマンスを発揮できる人間にならなければいけないのだと思っていた。極端に言えば「プロ」でないかもしれないが、それを目指さなければ「職」につけないものだと思っていた。
しかし、内田樹先生は「プロ」未満の水準でも(決してそんな事はないんだろうけどけど)、小銭をもらえれば、それを広げて喰っていけと言っている (少なくともリスクヘッジをしていると言っている)私がそのような暮らしができるかどうかはともかく、そのような生き方もあるのだと、かなり驚いた。