ユーザ数が増えて来たとはいえSNSの決定的なビジネスモデルは、なかなか見えてきていない。いくつかのSNSでは、有料サービスを展開している所もあるが、それだけで収益を確保していくのは難しい。
それではSNSがビジネスになるのは、どのような時か? このような問いに対して、何人かの人達はSNSの「リンク」を基盤にしたサービスを提案している。つまり「誰がその商品(人)を紹介しているか?」といった点を見るかということだ。
例えば、ネットオークションの場合、SNSと連動すれば「商品の善し悪し」や「価格」といった基準の他に「誰がその商品を推薦(売っているか)」という点も評価の基準となっていくだろう。ある商品に詳しい人がオークションに出展すれば、その商品の「適正価格」がだいたいどの程度なのかわかるし(その価格よりあまりにも高い場合は商品に買い手がつかないだろうし、逆にあまりにも安い場合は、何らかしら欠陥がある場合もある)、また有名な人であれば「?さんが評価している商品だから良い商品に違いない」ということから、商品が購入されるケースも出てくるだろう。
これと同様に「人材紹介」にSNSを応用することも考えられる。特にSNSの場合は、ユーザのページ自体が一種の「自己紹介」であり、他のユーザの「紹介文」はある種の推薦文となっている。海外では、仕事紹介のSNSは活発になっているらしいが、日本でも今後はこのような「人材紹介」とSNSが融合していくことが考えられる。
このように今後はSNSの仕組みを他のシステムに応用していくことが考えられるが、そうなると現状のSNSのように「気軽に」リンクの申請を認めることは難しくなっていくだろう。
なぜかといえば、オークションや人材紹介の場合のように、実際の「金銭」がからむような場合は、自分の評価をあげるために様々な人に「リンク申請」を出したり「紹介文」を出したりすることが考えられるからだ。
「誰からリンクされているか?」といった事や「誰から紹介文を書いてもらっているか?」といった事は、非常に重要な「評価基準」となる。この「評価基準」にある種のごまかしがあった場合は非常にやっかいになる。
ただ、SNSの場合はこのような「ごまかし」は起こりにくいだろう。なぜかといえば「リンクした人」「評価した人」が従来のシステムよりも「強調」されるからだ。もし、悪徳業者に「リンク」してしまったり「推薦文」を書いてしまったら、自分の「評判」まで落ちてしまうだろう。
さらに、これが「特定のユーザ層を狙った招待制のSNS」の場合は、誰がその悪徳業者を招待したかが、わかってしまう場合も出てくる。簡単に言えば、そのユーザを招待した「親」がわかってしまう可能性が高い。もし、悪徳業者を招待した「親」が他のユーザにわかってしまったら、そのユーザの評判は相当落ちてしまうだろう。
このようなこともあるので、SNSがオークションなどと結びついた時には、現状のように気楽に「リンク」申請を許諾できなくなってくるのではないかと考えられる。現状では「名刺ホルダー」としてSNSを利用している方も多いと思うが、これから先は簡単に「リンク」を許さないような風潮になっていくだろう。
もちろん、「普通のSNS」は、これからも「活発なコミュニケーション」が維持されていくだろうが、オークション等のシステムとSNSが結びついた時は、今までのSNSと同じような感覚では使えなくなるだろう。今のSNS以上に自分と他人の情報を気を遣いながら使っていく必要が出てくるだろう。