Skypeの国内動向について(上) ?Skype Conference 2005 より?

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 9月3日に行われた「Skype Conference 2005」に参加してくださった皆様、また講師の方々、本当にありがとうございました。今回は150人前後の方々が参加してくださり、改めてSkypeが注目されているかを感じました。

 さて、今回の「Skype Conference 2005」で、私も「国内におけるSkypeの最新動向」というテーマで講演させてもらいました。ただ私の講演は時間の都合上、講演内容を省略してしまった部分が多く、後半部分は少々わかりにくかったと思います。

 そこで今回は、私が9月3日に行った講演を、テキストにしてBlogで公表したいと思います。ただ、当日の講演は録音しておらず、正確な「文字おこし」ではありません。ご容赦ください。

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 こんにちわ、P2P todayというWebページをやっている横田と申します。本日は「スカイプ国内動向」という事で、Skypeの国内の最新動向について、お話しさせていただきます。

 さて今回の講演では、まず「広がるSkypeサービス」という事で、ビジネス分野でのSkypeの利用事例などについて説明させていただきます。コンシューマでは既に多くの人たちがSkypeを利用しておりますが、最近では通信費の削減などにSkypeを利用している企業が増えております。これらの事例や、Skypeの珍しい利用例を説明したいと思います。

 次に「ビデオ版Skype以後のライバル企業達」という事で、国内のビデオフォンのサービスの紹介と、今後どのような企業がSkypeのライバルとなっていくのかを考えていきたいと思います。

 最後に「Skypeエコノミーの確率は可能か?」という事で、Skypeの周辺機器ビジネスや連携するプログラムについて説明させていただきます。

 それでは「広がるSkypeサービス」という事で、Skypeのビジネス利用について説明させていただきます。ここでは、まず「Skype導入により通信費の削減が可能」という事で、Skypeを利用して「通信費」を削減した企業の事例を紹介します。次に、企業の問い合わせのページに「Skype」のバナーを設置し、ユーザとの問い合わせにSkypeを利用している企業の事例を、最後にSkypeを活用したユニークな事例を紹介したいと思います。

 まず、Skypeの周辺機器ビジネスも手がけている「NOVAC」の例を見てみましょう。NOVAC社はSkype導入により、月平均12万円ほどの国際電話代を4200円にまで削減されたそうです。

 NOVAC社の例は非常に大きな効果をあげています。他に私が聞いた所ですと、海外と密接に連絡を取っているPC周辺機器メーカなどが、国際電話の代わりにSkypeを導入することにより、国際電話代を半分に抑えられたという例があります。

 PC周辺機器メーカ以外でも、株式会社アトリスのように社内に設置する「IP-PBX」の代わりにSkypeを導入し、IP-PBXの料金、300?400万円を削減した例や、各種言語翻訳及びコピーライティングを行なうインタック社のように、海外事業所同士との連絡にSkypeを利用し、通信費を削減する例も出てきております。このように、現在のところSkypeを積極的に利用されている企業は、短距離間の通話より、海外とのやり取りに使われるケースが多いように思えます。

 次に、企業の問い合わせページにSkypeを利用している事例を紹介いたします。企業の問い合わせのページでは、メールフォームや電話番号からユーザからの問い合わせをしていますが「Skype」のバナーを用意して、電話の代わりにSkypeで問い合わせをする企業がいくつか出てきております。

 意外な事にユーザからの問い合わせを行なっている企業は、必ずしも「IT系の企業」ではありません。例えば、自転車販売を行なっている「charawa.com」、京都の食品販売を行なっている「藤村屋」などのWebサイトでもユーザからの問い合わせにSkypeを利用しております。変わった所では「今治市医師会市民病院」があります。この病院では、Skypeを用いた無料健康相談を行なっています。

 この他にも、色々な企業でSkypeをユーザからの問い合わせに使っていますが、現在のところ、あくまで、一対一の電話サービスの延長として使っている程度に思われます。今後は「プレゼンス」機能や「多人数会話」「ビデオ機能」を使った「問い合わせ」なども出てくるでしょう。

 最後に、Skypeを使ったユニークな例を紹介します。まずは、皆様ご存じの「はてな」です。はてなでは、社内会議の一部に、「Skype」を使ってユーザーを参加させる試みを行なっています。

 また短期賃貸マンションなどにブロードバンド環境を構築する「株式会社バトラァーズ」では、客室にSkype対応のサイバーフォンKを設置しております。最初に、とこの話を聞いたときは「携帯電話を持って行けば良いのでは?」と思ったのですが、短期賃貸マンションやホテルの利用者は,多くが出張中のビジネスパーソンや海外からの短期滞在者ということから、海外通話にSkypeが利用されるのでしょう。

 さて、最後に以上のことからSkypeのビジネス利用の課題をまとめてみたいと思います。まずは「近距離、中距離の通話にはまだ利用されていない」という事です。先ほどの例を見ていただければわかるように、Skypeの利用は海外とのやりとりなど「遠距離通話」が中心で、短距離・中距離の通話にはあまり利用されておりません。フュージョンとの「050」連携から広まる事も考えられますが、近距離への通話はSkypeのユーザが今以上に増加しないと利用されないでしょう。

 次に「問い合わせの十分な活用はできるのか?」という事です。先ほどの例を見ていただいた通り、現状ではSkypeを使った問い合わせは、一対一の「電話の延長」です。多人数通話や動画等のサービスと組み合わせなければ、企業の問い合わせでSkypeを使えメリットはかなり薄れていくと思います。

 最後にSkypeには「無料」という点が大きなメリットではありますが、今後は「無料であるが故の弊害が出てくる」という事もあります。例えば、私の知っている会社で、Skypeを連絡手段に使っていた会社があるのですが、不必要な通話が増え、生産性が落ちたという会社がありました。このような事も今後増えてくると思われますので、Skypeを導入する企業はある程度のポリシーを作ってから導入された方が良いと思います。

(続く)