[再掲]P2P再考(1) 分散はP2Pの本質なのか?

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 最近、Blog等に掲載されているP2Pを巡る議論を見ていると「Winny」の特性である「自分が管理できるコンテンツ自体を分散させ、各地に分散されたクライアントにさらに分散させる」「分散されたクライアントから自分が欲しいコンテンツを検索・コピーできる」といった点を、そのままP2Pに当てはめて議論をしていることが多いような気がする。

 これらの特徴は、確かにWinnyの持っている特徴でもあり、一部分ではP2Pの特徴を表したものと言えると思う。しかし、このような「分散制」だけがP2Pの特徴なのだろうか?
 例えば、ファイルシェアリング以外の用途では、インターネット全体に分散させるのではなく、送信するデータを「制御」する流れが強い。これは、P2Pを使ったコミュニケーションツールであるインスタントメッセンジャ(IM)やグループウェアを見てみると、それがハッキリとわかると思う。

 IMの場合は「友達リスト(バディリスト)」に相手を登録して、チャットができるツールだが、この「友達リスト」は基本的に「管理」するものだ。例えば、知らない相手からのメッセージを遮断できるし、しつこい「お誘い」には「無視リスト」で対抗できる。

 また、IMによっては「ファイル共有」機能があるが、これはWinnyのように自分の持っているコンテンツを「分散」するのではなく、自分が決めた通信相手とのみファィルを「共有」できる。通信相手をこちら側で制御することで、自分の持っているファイル/情報の流れもコントロールできるようになる。

 これは、P2Pを利用した「グループウェア」を見れば、もっとわかりやすいと思う。Grooveやアリエル等のグループウェアは、ファイル/情報を無制限に共有するためのものではない。自分の持っているファイル/情報を「共有」する相手を指定し、さらに相手によって「公開」する範囲を設定できる。こうすることで、自分の持っている情報の流れを制御できる。

 P2Pというと、無秩序にデータを「分散」させるというイメージが強いと思うが、このように自分の持っているデータを「制御」するためにP2Pを使う場合もある。IMやP2Pを使った分散されているクライアントを連結させることで「実質的な集中」を実現しているとも言える。この点について、次回以降のエントリでもう少し考えてみようと思う。

コメント

  1. 横田真俊 より:

    これは以前にNext todayに投稿したものです。