横田です。この記事はさくらインターネット Advent Calendar 2018の12月1日の記事です。
今年もアドベントカレンダーの季節がやってまいりました。この季節には「今年のIT業界はどんな年だったか?」と振り返る人も多いと思います。
というわけで、最近のITトレンドをまとめている「テクノロジーマップ」のまとめをご紹介したいと思います。
《日経トレンドマップ・テクノロジー期待度ランキング 2019/2030年》
最初は軽めに「日経クロストレンド「トレンドマップ 2018夏」」あたりで、振り返りましょう。
この「日経クロストレンド「トレンドマップ 2018夏」」は日経クロストレンドが作成したもので「技術」「マーケティング」「消費」の3分野ごとに「経済インパクト」と「将来性」をスコアリングしたものです。
ニュースリリースには「技術分野」のトレンドマップのみ見られますが、全てのマップはこちらのページから確認できます。(ただし会員登録が必要)
細かな技術的なトピックではなく、世間一般的に話題になっているキーワードを確認するには良いでしょう。(残念ながら世間一般ではKubernetesもVue.jsも話題になっていないようです。)
「トレンドマップ 2018夏」は「半年に一度のペースでトレンドマップを発表」としているので、年明けぐらいには「トレンドマップ 2018冬」が出てくるかもしれません。
もう一つ、トピック的には同様のものとして同じく日経BP社が発表している「「テクノロジー期待度ランキング 2019/2030年」」もあります。
これは「ビジネスパーソンを対象に、2019年と2030年それぞれの時期に期待する新技術を挙げてもらいランキング化したもの」で、2019年度は「AI関連」、2030年度「再生医療」に期待が高まっているという発表をしております。
こちらのランキングの内容や詳細な解説は「日経テクノロジー展望2019 世界をつなぐ100の技術 」という本に詳しくなっております。
[関連リンク]
・技術、マーケ、消費の潮流を見極める「トレンドマップ」公開:日経クロストレンド(記事の全文閲覧には会員登録が必要)
・日経クロストレンド「トレンドマップ 2018夏」を発表 AI、デザイン思考、シェアリングサービスなどの将来性を評価 – ニュースリリース – 日経BP社
・2019年はAI、2030年は再生医療「テクノロジー期待度ランキング 2019/2030年」を発表 ビジネスパーソンが期待する新技術を日経BP総研が調査 – ニュースリリース – 日経BP社
《ガートナー ハイプ・サイクル》
テクノロジーマップの中で最も有名なのはガートナー社が発表している「ハイプ・サイクル」でしょう。
それぞれの技術要素が「黎明期」「流行期」「幻滅期」「回復期」「安定期」を巡ることにより、特定の技術が「過度な期待」から「広範囲に受け入れられるような状態」になったことを表すものです。
米ガートナーによる2018年のハイプサイクルは8月に公開されましたが、10月には日本に特化した日本におけるテクノロジーのハイプ・サイクルも発表されております。
日本のハイプ・サイクルを見てみると「ブロックチェーン」「人工知能」「モノのインターネット」が流行期から幻滅期に入るなど、ここ2.3年IT業界を賑わせていたキーワードが徐々に幻滅期に入っていることがわかります。
このあたりについては
「今後、概念実証(POC) や先行事例の結果が公表され、取り組みの困難さが顕在化するにつれて、慎重な姿勢が企業間に広まるものと予想されます」
と説明されていますので、今年から来年にかけて人工知能などの実証実験から、実際にやってみると色々と難しいということがわかってくるという事でしょうか?
そして「ビッグデータ」が陳腐化しているのも面白いですね。解説によると
「ビッグ・データの活用に向けた検証や試行は、医療、製造、公共サービス分野、さらには顧客とのエンゲージメントといったさまざまな業種や業務において今後も進むと考えられますが、対象が曖昧な『ビッグ・データ』という表現は使われなくなり、業種・業務特化型ソリューションの一部として広がっていくとみているためです」
としているので「ビッグ・データ」という言葉を使われなくなりますが、同様のことは使われていくということでしょうか?
なお、米ガートナーと日本のハイプ・サイクルを見比べてみると、
私の個人的な感想ですが「先進テクノロジのハイプ・サイクル」の方が「日本におけるテクノロジのハイプサイクル」よりもロボットや空飛ぶ車、自律走行(レベル5)など、どちらかと言うと「物質的」なものに対し、日本の人工知能やブロックチェーン、ビッグデータなど物質的ではないIT技術を話題にしているものが多い気がします。
・日本では「ブロックチェーン」は過度な期待、「DevOps」は幻滅期、「ビッグデータ」は陳腐化へ。ガートナーが「日本におけるテクノロジのハイプサイクル」2018年版発表 ? Publickey
・米ガートナー、先進テクノロジーにおけるハイプサイクル2018年版を発表。汎用AIは黎明期、バイオチップやディープラーニングは過度な期待、複合現実は幻滅期へ ? Publickey
《Web Developer Roadmap》
Roadmap to becoming a web developer in 2018は、Kamran Ahmed氏によるフロントエンド、バックエンド、Devopsが、それぞれ勉強するものや採用するテクノロジーについて解説したチャートです。
昨年度からチャートの書き方が変更され、それぞれの技術のキーワードの紹介というよりも「何を勉強するか?」「具体的にどのような技術を勉強するのか?」という風なチャートに変更されている印象があります。
例えば、「DevOps」の場合、下記のステップを紹介しています。
1 プログラミング言語を学習する(Python、Ruby、Node.js、GO、Rust)
2 異なるOSのコンセプトを理解する(仮想化、ファイルシステム、)
3 サーバの運用を学ぶ(Linux、Unix)
ターミナルの使い方を学ぶ4 ネットワークとセキュリティ(DNS、OSI、HTTPS、FTP、SSL/TLS)
5 Webサーバ(IIS、Apache、nginx、Tomcat、Caddy)、リバプロ、プロキシ、キャッシュサーバ、ロードバランサ、ファイヤウォールのセットアップ方法
6 インフラ アズ コードの学習
コンテナ(Docker、rkt、LXC)
混成管理ツール(Ansible、Salt、Chef、Puppet)
infrastructure provisioning(Terraform、Cloud formation)7 CI/CDツールを学ぶ(Jenkins、TeamCity、Circle CIなど)
8 監視ツールの学習
9 クラウドプロバイダーの選択(AWS、Azure、Googleなど)
このようにこれから、フロントエンド、バックエンド、Devopsを勉強する方には参考になると思いますし、現状でどの技術・ソフトを選択すれば良いかのヒントになると思います。
[関連リンク]
・Roadmap to becoming a web developer in 2018
・Web Developer Roadmap 2018が出たので2017年版と比較してみる – Qiita
《TECHNOLOGY RADER 》
Technology RadarはThoughtWorks社が半年に一回発表している技術レポートで、同社が最新の技術動向についてTechniques(開発手法) / Tools(ツール) / Platforms (プラットフォーム) / Languages & Frameworks(言語とフレームワーク)」の4つに分けて、さらに
「ADOPT(採用すべき)」
「TRIAL (試してみよ)」
「ASSESS(調査せよ)」
「HOLD (待て)」
といった視点で、それぞれ採用すべきかどうかをレポートしています。
今まで紹介したテクノロジーマップに比べて、新しい技術・概念が紹介されており、馴染みの無いキーワードが出てくるかもしれませんが、それぞれの分野で最新の技術を勉強できます。
[関連リンク]
・Technology Radar | Emerging Tech Trends for 2018 | ThoughtWorks
《Front-End Developer Handbook》
Front-End Developer Handbook 2018は、Cody Lindley氏によるフロントエンド開発の実践について学ぶガイドです。
フロントエンドの学習用途としても良いのですがIn 2018 expect… ? Front-End Developer Handbook 2018で2018年の予測が掲載されていたり、Part III: Front-End Dev Tools ? Front-End Developer Handbook 2018で、フロントエンドのツールについて紹介がされています。
[関連]
・Introduction ? Front-End Developer Handbook 2018
・「Front-end Developer Handbook 2018」2018年の予測について翻訳 – Qiita
《まとめ》
ここまで、いくつかテクノロジーマップを見てきました。全ての項目について見ておくことは無いと思いますが、自分が関係しそうな分野については見ておくと、次にどのような技術が来るのか見えてくるかも知れません。