スマートウォッチ市場は昔のPDA市場と思えば良いのではないだろうか?

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横田ですApple Watchのスペックが発表されたので、早速Pebble Timeを予約しました。

なぜ、Pebbleかと言えばApple Watchのバッテリの持続時間が(予想通り)18時間しか持たなかったからです。Apple Watchのようなスマートウォッチが「時計以上の体験」を与えるものとは言え、時計のバッテリが18時間しかもたないのは、かなり致命的です。本格的に利用をするのであれば、Pebbleのように長時間のバッテリ(Pebbleは一週間程度バッテリが持つという)が必須となります。

いつになるのかわかりませんが、今後スマートウォッチが普及するのであれば、これぐらいバッテリが持つようになってからでしょう。そういう意味でもスマートウォッチがどのように自分の生活を変えていくかを見るのであれば、Apple WatchよりもPebbleを買った方が良い気がしています。

もちろん、見た目的にもApple WatchとPebbleは違います。Apple Watchがキレイな液晶や豊富なiPhoneの資産が利用できるのに対して、Pebbleはカラーになったとは言え「電子ペーバ」での表示です。見た目の表示については圧倒的にApple Watchの方が優れており、これだけを見ると、PebbleはApple Watchには勝てません。ただ、昔「PDA」と呼ばれた物を見た人間としては、最初に受け入れられる「スマートウォッチ」はPebbleのような気がしています。

なぜかと言えば、スマートウォッチはまだ未成熟であり、定番のアプリなどもなく、まだ完成されていない分野です。未成熟な分野の場合「様々な事ができる」物よりも、単純ではありますが何かしらの部分に特化していた物の方が受け入れられやすいと思っています。それは以前に存在したPDAがそうでした。

現在のスマートフォンの源流ともいうべきPDA。かつては、Appleが社運をかけて「ニュートン」というモデルを出したことがあります。このニュートンは「手書き認識」を売りにしていましたが、実用的な文字認識ができず、それが売り上げ不振の要因を作ったと言われています。

このニュートンに取ってかわり、PDA市場を引っ張ったのがPalmでした。Palmはニュートンのような文字認識ではなく「グラフィティ」と呼ばれる特殊な書き方をユーザに強要しました(Palmを1度でも利用したことがある人は「強要」という言葉が間違っていないとわかっていただけると思います。)。このグラフティは、特殊な書き方のためユーザ側に学習コストの負担を強いるものでしたが、慣れてしまえばPalm端末で文字を入力することができました。Palmはこのような(ユーザに学習負担を強いるような)単純な文字認識でニュートンに買ったのです。

しかし、Palmが勝利した「PDA市場」がその後、携帯電話/スマートフォンの発達により駆逐されてしまいました。「未熟な市場」のうちはPalmのようなシンプルな物が受け入れられますが、一般の人にも広まるようになると、より高機能な物が普及していったのだと思います。

個人的には、現在のスマートウォッチの動向を見ていると、スマートフォンに駆逐されるPDAを見ている気分になります。バッテリの持ち時間もそうですが、利用者やスマートウォッチを作り出した開発会社でも、まだそれほど「スマートウォッチ」特有の利用方法は見つけられておらず、利用シーンの提案が「小さなスマートフォン」としての操作方法で止っているような気がしています。スマートウォッチらしい利用シーンやアプリケーションが出てくるのは、もう少し先のことになると思います。

ただ、正直なところ、スマートウォッチ市場はまだ黎明期であり、かつてのPDAのようにPebbleのようなニッチャーが勝利しつつも、市場としてはPDAのように1度無くなり、その後、また別の名前で登場してくると思います。その別の「何か」については、まだわかりませんが、個人的にはなんとなくApple WatchよりもPebbleの方が、その「何か」には近い気がしています。