先日、知り合いと「イノベーション」という言葉の定義についての少し話し合う機会がありました。このイノベーションという言葉は色々な場所で使われています。曰く「イノベーションは大事だ」、「これからの業界はイノベーションが大事」と言います。なるほど、皆様がそこまでおっしゃるのであれば「イノベーション」というのは非常に大事なのでしょう。
しかし、「イノベーションが大事と言う人」の言うことを聞いてみても、どうもいまいち「イノベーション」というのが一体何を意味しているのかが、よくわからない場合があります。これは個人的な考えですが、恐らく「イノベーションが大事」と言っている人の大半は「(現在にはない)何か新しい技術を生み出す事」という意味で言っているのでしょう。
確かに、明鏡国語辞典を引くと
「新機軸。革新。特に、経済発展の起動力となる技術革新。」
と書いてあり、新明解国語辞典をひくと
「〔経済発展の基本動因となる〕技術の革新。」
と書いてあります。「技術の革新」ということから、何かしらの新しい技術やサービスを生み出すことなのでしょう。
ただ、単に「新しい技術を開発した」「新しいサービス」というだけではなく、個人的には「イノベーション」ということではないと思っています。どういう事かと言えば、単に「新しいサービス」「最初のサービス」だけでは「普通の人」にインパクトを与えられないからです。
例えば、世界で最初のMP3プレーヤは「iPod」ではありません。それどころかハードディスクを導入した最初の音楽プレーヤーですらない、またGoogleは世界で最初の検索エンジンではなく、Facebookも世界最初のSNSではありません。それぞれの分野で、現状では「イノベーティブな企業」と言われている企業についても「最初」に「新しいサービス」を開始したわけではありません。
こういう風に見ますと、個人的には「イノベーション」という言葉は、単に「新しい」「技術の革新」というよりも「普通の人達の生活を変化させるサービス」「普通の人達でも利用できるようになったサービス」という事に主眼を置いた方が良いと思っております。
さて、最近は、何でも定量化しないとダメという風潮ですが「普通の人」に普及したというのを定量化するというのは、どのようにすれば良いのでしょうか? 個人的には、もしイノベーションを定量化するのであれば「そのジャンルでシェアが4割取れたか?」ということになるのではないかと考えています。
別に「シェア4割」と書きましたが、これは別に4割でなくとも良いと思います。ただ「一般の人に普及」させるサービスであれば、その分野の4割ぐらいは抑えて当然のような気がします。