[新装版]ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由 ローレンス・J・ピーター レイモンド・ハル 渡辺 伸也 ダイヤモンド社 2018-03-24 by G-Tools |
有名な「ピーターの法則」を実際に読んだことが無かったので読んでみました。ピーターの法則は雑に「人間は出世すれば無能になる」という風に思っていたのですが、Wikipediaによると色々とあるらしいです。ただ、大きくは間違っていないでしょう。
そういうイメージがあって本書を読んでみたのですが、単に「出世すれば無能になる」というよりは「出世すれば役割が変わるので、今までと同じ能力は発揮できず、結果的に無能になる」という風に感じました。
このことは冷静に考えてみれば当たり前で、個人の力量がどんなに優れた人でもプレーヤーからマネージャーになるということは「転職」をするぐらいの環境の変化ですし、そもそも現状で良いプレーヤーでもその人が出世しても良いマネージャーになるという保証はありません。
突然、仕事が変わったのに、前と同じ仕事のパフォーマンスを出すのは非常に難しいでしょうし、仕事が変わったのにもかかわらず、前と同じ仕事のやり方をして失敗する人もいるでしょう。(本書にも実例として、そのような人が良くでてきます。)
前に優秀だった人間でも、突然「別の仕事」をするようになれば、それは最初は上手くできないでしょうし、同じやり方で仕事をやっていれば、周りの期待に答えられず「無能」とされてしまうのは仕方がないとは思います。
とは言え出世した人が全員無能では、仕事をしている人は誰なんでしょうか? ピーターの法則では「仕事はまだ無能レベルに達していない者によって行なわれる」とあります。言葉通りに受け入れれば、出世していない人間によって仕事は回っているということなんでしょうが、個人的にはそれだけとも思えません。
現在、出世して「無能レベルに達していない人間」でも、新入社員の頃からいきなり仕事ができたわけではありませんし、自分で勉強したり先輩社員から仕事を教わってきて一人前になってきたのだと思いまする。出世した人間でも、継続的に「勉強」すれば「無能レベル」には達しないでしょう。
新しい環境になれば新しい事を覚える必要はあるのはどこでも一緒です。ピーターの法則では「やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間に占められる」とあります。もしかしたら、そういう場所もあるのかもしれませんが、継続して「勉強」していけば、誰しも「無能」にはならない気がします。